1890年(明治23年)~1968年(昭和43年)。
愛知県岡崎市出身。大正から昭和期の文化人。号は菅甲。「みどりや」主人。
「岡崎朝報」記者。「新愛知」新聞初代岡崎支局長。岡崎市会議員。
1921年(大正10年)岡崎市康生町に玩具店「みどりや」開業。岡崎市の教育・文化・観光の向上開発に尽力され、特に1959年(昭和34年)の岡崎城復元に努力されました。
岡崎にいらっしゃった山岡荘八・菊池寛・武者小路実篤ら多くの著名人の接待役としても活躍されました。1927年(昭和2年)に建築された岡崎市六供町の松井邸は岡崎市内に残る最古の文化住宅で、菊池寛が「無憂荘」と命名されました。
岡崎市十王町の西本願寺三河別院には1931年(昭和6年)に岡崎納札会が建立した「浄瑠璃姫観月遺跡」があります。岡崎納札会は、1916年(大正5年)に稲垣豆人と松井弘が発足させた会です。大正から昭和初期にかけて千社札を名刺の様に交換し合った会で、三都に次ぐものでした。松井弘はその世話人の一人として尽力しました。遺跡の碑に「松井菅甲」の名前が刻まれています。
松井弘は大正、昭和期の新聞・広告・手紙・商品の栞・領収書・旅行案内・絵はがき・交通切符・社寺のお札・駅弁の包み紙などを貼り込んだスクラップ150冊余を残されていて、当時の貴重な世相風俗を知ることができます。岡崎地方史研究会会長の嶋村博氏は、松井弘のスクラップブックを元にした「みどりや主人の昭和史」を2020年(令和2年)4月から2023年(令和5年)7月まで東海愛知新聞で連載されており、2024年3月には連載記事をまとめた書籍「みどりや主人の大正・戦前昭和‐スクラップ帳が語る庶民史-」を発刊されました。
当社史料室には大正・昭和時代に松井弘からいただいた絵はがきや、松井弘が書いた八丁味噌に関する記事が多数残っています。
菊池寛・山岡荘八について詳しくは「カクキューの八丁味噌を愛した著名人」の「
菊池寛」「
山岡荘八」をご覧ください。
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