ひとことで味噌と言ってもいろいろあります

 味噌はその土地の気候風土や歴史背景と密接な関係を持つことから地方色が豊かで、「所変われば味噌変わる」と言えるほど、全国には様々な味噌が存在します。
 同じ原料を使っていても、それぞれの味噌蔵の製法や気候、蔵に棲みつく微生物などが異なることにより、全く異なる味わいが生まれます。(参考「八丁味噌を育む八丁村」)

 造り手によってバラエティー豊かな特徴をもつ味噌ですが、単純に「使っている原料」や「見た目の色」で分類すると、下記のような分類をすることができます。これにより、カクキューの【八丁味噌】は「豆みそ」や「赤みそ」に分類され、カクキューの【赤出し味噌】は「調合みそ」や「赤みそ」に分類されます。

味噌の分類
原料による分類色による分類原料当社の味噌
米味噌
淡色
大豆、米、塩
豆味噌大豆、塩「八丁味噌」
麦味噌淡色
大豆、麦、塩
調合味噌米味噌、豆味噌、麦味噌を混合したもの
(「米麹+麦麹」のように複数の麹を混合してから醸造したものもある)
「赤出し味噌」

 全国の味噌の約80%が米みそである一方で、愛知県を含む東海三県(愛知・岐阜・三重)は、古来より主に大豆と塩を原料とする「豆みそ」を生産しています。豆みそは、甘みのほとんど無いお味噌ですが、大豆由来のうま味があるのが特徴です。
 また、「味噌汁は煮立たせてはいけない」とよく言われますが、それは「香り」が特徴である「米みそ」や「麦みそ」など、加熱すると香りが飛びやすい味噌に対して言われるものであります。豆みそは「うま味」が特徴であり、うま味は加熱に強いため、煮込んでも美味しさは損なわれません。そのため、味噌煮込みうどんやどて煮、味噌おでんなどに使われます。

味噌の効用について

日本人の健康を支える“味噌”

味噌は古くから日本人に親しまれてきました。
鎌倉時代には武士階級を中心に、一汁一菜という現代に通じるご飯・おかず・汁物の形ができ、味噌汁が汁物の中心となりました。
以来、約800年もの間、大豆と米が日本人の命を支えてきたわけです。
ですから、和食の基本である味噌汁は日本人に最適であるといえるのではないでしょうか。

研究により、味噌には次のような健康効果が認められました。

♦みそ汁を飲む頻度の高い人ほど、胃がんによる死亡率が低い♦
(国立がんセンター研究所(1981年))

♦みそ汁の摂取が多いほど、乳がんになりにくい♦
(厚生労働省研究班(2003年))

また、豆みそはその色から「赤みそ」とも呼ばれていますが、この褐色成分は「メラノイジン」と呼ばれる色素です。豆みその中でも、当社の伝統製法で造る「八丁味噌」は特に濃い色をしていますが、これは「メラノイジン」が多い証です。メラノイジンは様々な病気を引き起こす「活性酸素」の働きを抑える働きをする他、食物繊維のような働きをすることも報告されており、大変注目されています。

古くから知られていた味噌の健康効果

科学的に研究される以前から、味噌の健康効果が書かれた文献やことわざが多く存在します。これにより、日本人は古来より経験的に「味噌は体によい」ということを感じて生きてきたことがわかります。

♦味噌の健康効果の書かれた江戸時代の本♦
今から300年以上も前の元禄10年(1697)に発刊された「本朝食鑑(ほんちょうしょっかん)」には、「みそは1日もなくてはならないもの」であり、「気を穏やかにして元気をつけ、血のめぐりを良くするもの」「百薬の毒を消すもの」と記されています。

♦味噌のことわざ♦

  • 味噌汁一杯三里の力
    (一杯のおみそ汁を飲めば、三里(約12キロメートル)も歩いても疲れないほどだ、という意味)
  • 味噌汁は不老長寿の薬
  • 医者に金を払うよりも味噌屋に払え
  • 味噌の医者殺し
    (味噌を食べていれば健康で医者にかかるようなことはないので、医者は儲からず商売あがったり、という意味)
  • 生味噌は腹の妙薬
  • みそ汁は朝の毒消し
  • みそ汁はタバコのず(毒)をおろす

味噌汁は一般的に、メインディッシュとはならず、汁物として軽視されがちですが、立派な栄養源です。また、具材をたっぷり入れれば具材の栄養素も同時にたくさん摂取できます。野菜はもちろんのこと、お肉やお魚との相性も抜群なので、ぜひ冷蔵庫にある食材をいろいろとお味噌汁の具にしてお食事の主役にしてみてはいかがでしょうか。
また、お味噌には、味をまとめるという効果もありますので、意外な食材もきっと美味しくまとめてくれます。
具だくさんのお味噌汁で栄養をたくさんとることができ、手間いらず。忙しくてなかなかお料理に時間をかけられないという方にもおすすめです。

チェルノブイリ原発事故

昭和61年(1986)4月、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故が発生しました。西ヨーロッパ諸国では「味噌は放射能障害に効果がある」という説が広まって注文が殺到、それまで月間2~3トンだった輸出量が、6・7・8の3ヶ月には平均14トンにもなりました。

事実、事故後ヨーロッパでは、英国で出版された長崎原爆レポート「ナガサキ・1945」という本が売り切れになったと言われています。この本は、秋月辰一郎氏の著作が現地語に翻訳されたもので、それを読んだ人たちが、味噌を買いに走ったといわれています。

秋月氏自身は長崎原爆の被爆者で、聖フランシスコ病院長を務め、原発事故当時は同病院顧問、長崎平和推進協会理事長でした。「玄米飯に塩を付けて握り、濃い味の味噌汁を作り毎日食べる」という栄養論を述べました。
秋月辰一郎氏は当社に来社されており、御本人から頂いた手紙などが今も大切に保管されています。

秋月辰一郎氏について詳しくはこちら

THE BOOK OF MISO(ザ・ブック・オブ・ミソ)

「ザ・ブック・オブ・ミソ」は、アメリカ合衆国に味噌ブームを巻き起こした画期的著作です。著者のウィリアム・シュルトレフ氏とイラストを描いた妻の青柳昭子氏は昭和47年から一緒に東アジアの伝統的食品を西欧に紹介する仕事に携わり、「ザ・ブック・オブ・トウフ(豆腐)」や「ザ・ブック・オブ・シーベジタブルズ(海草)」などを著しています。

シュルトレフ氏は昭和49年4月に初来社、以来当社はじめ各地の味噌を研究し、ザ・ブック・オブ・ミソを昭和51年に発刊しました。内容は大豆、タンパク質、世界の食糧危機、発酵の驚異といった全般的問題から味噌の調理方法に至るまで詳細な解説がなされています。著者二人はイラストをはじめカクキューの話題をいくつも取り上げました。宮内省御用達や八丁味噌が南極地域観測隊に用いられたという記事もあります。謝辞の中に、取材対応をした旧総務部長・金子清の名前もあります。アメリカでこの本が注目を集めたのは、肉を中心としたアメリカ式食生活がしばしば高血圧や心臓病など好ましくない結果をもたらすのに対し、味噌などの大豆食品ではそうした問題がないという点の紹介だったようです。