料理旅館「藤傳(ふじでん)」の店主。
「藤傳」は嘉永年間に林家13代目が独立し、岡崎市の矢作橋畔に料理業を開業しました。名物八丁味噌を看板に「むきみ汁」が人気を得てその後も大繁盛しました。しかし、矢作川河川改修工事の為に立退きの運命に遇い、大正の終わり頃に店を閉じました。
当社では、1923年(大正12年)度の大豆購入量が五千石を越えたのを記念し、1924年(大正13年)6月8日に、従業員や関係者らで岡崎市八帖町の諏訪神社にて祝賀会「五千石祝い」を行いました。また、取引先の人達を「藤傳」に連日招待しました。
1888年(明治21年)発行の「参陽商工便覧」に「藤傳」が紹介されています。また、岡崎市十王町の西本願寺三河別院に1931年(昭和6年)に岡崎納札会が建立した「浄瑠璃姫観月遺跡」があり、賛同した「ふじ傳」の名前も刻まれています。
当社史料室には、林傳蔵から17代早川久右エ門宛の年賀状や、注文の記録が多数残されています。また、カクキューの八丁味噌づくしの「新年懐石料理献立」のお品書きが残されています。
<参考文献>
●「みどりや主人の昭和史 24」(東海愛知新聞)嶋村博氏著 2021年(令和3年)
●「山越え谷越え350年」合資会社八丁味噌 史料室2000年(平成12年)
藤傳からの注文記録(明治29年の大福帳より
浄瑠璃姫観月遺跡
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